2017/2/22/ 10:15

AIを利用した次世代カスタマーサポートサービス「Inbenta」

Startups #65 Inbenta Technologies
Founder & CEO Jordi Torras
AIを利用した次世代カスタマーサポートサービス「Inbenta」

顧客のカスタマーサポートを効率化しているInbenta Technologies社。カスタマーサポートにおいて自然言語処理を用いたセマンティック検索エンジンとユーザー応対用のチャットボットを提供している。顧客はそれらの機能を利用することにより、エンドユーザー自身によるWebサイト上での自己解決を図ることができる。同社は2005年にコンサルティング会社として設立され、2010年に現在の事業モデルへピボットした。今回はFounderでCEOのJordi Torras氏に事業内容や今後の展望を聞いた。

AIを利用したカスタマーサポート改善サービス

―まず御社の事業概要を教えてください。

 私たちは、AIを使って顧客のオンラインカスタマーサポート改善するサービスを提供しています。Webサイトへ訪れたユーザーは、生身の人間と会話をするかのように、自然な流れで課題や疑問を解決することができます。

 顧客のカスタマーサポートへ導入されるAIは、高い自然言語処理機能を持っています。人の話す言語を前後の文脈も理解した上で返答することができます。最近、自動車を含む多くの業界で、AIを活かしたアプリケーションが増えていますが、私たちのAIと同程度の言語処理機能を備えたものは見たことがありません。

―サービスの仕組みを詳しく教えてください。

 まず、顧客のWebサイトにあるQ&Aのページの検索エンジンにAIを実装します。これにより、顧客のQ&A検索エンジンの正答率が格段に上がります。たとえば、顧客のWebサイトへサービスに疑問をもったユーザーが訪れたとしましょう。そして「お金を返金してほしい」と尋ねたとしますよね。するとAIの言語処理のシステムが瞬時に質問の意味を理解し、適切な文脈で回答します。AIがこのような高度な言語処理を行うには、文章・テキストから正確に意味を読み取って返答を考えることのできる、まるで人間の脳のように働く仕組みが必要不可欠です。さらに、実装の際には顧客情報を事前にAIに学習させてから、サービスとして導入しているので、ユーザーへ答える質問が見当違いなものになることはほとんどありません。

実装後たったの一ヶ月で正答率99%

―他社との差別化のポイントとは何でしょうか?

 サービス実装後から実用化できるようになるまでのスピードが、他社と比べて格段に速いことだと思います。多くの競合他社のサービスは、顧客のサイトへ実装してから実用化できるようになるまでに、約9ヶ月から1年の時間を要します。しかし、私たちのAIは、高度な言語処理能力と学習能力を備えた人間の脳のようなものです。これにより、導入初日こそ、各質問に対して正答率が90%前後だったとしても、ほんの数週間で99%の正答率で質問に答えられるようにすることも可能です。最短1ヶ月で各顧客のWebサイト内で実用化することもできます。

―このAIはどのように構築されているのでしょうか?

 このAIの自然言語処理能力は、ニューラルネットワーク、レキシコン、そしてマッチングアルゴリズムと呼ばれる三つのテクノロジーを利用し、言葉を数式に変換して、言語処理に役立てています。それぞれのユーザーの質問と過去に蓄積した言葉を数学的に比較して、判別するだけのシンプルな流れです。さらに、この流れの中にマシンラーニングの技術を加えることで、AIはユーザーとの会話を重ねるほど多くの語彙を学習して、より複雑な文脈でも理解できるように進化していきます。

―チャットボットを利用したモデルも運営しているんですよね?

 はい。私たちはカスタマーサポートを効率化するモデルの他に、チャットボット運用プラットフォームも運営しています。顧客は、AIを搭載したチャットボットを利用することができるようになります。作成したチャットボットは、Webサイトだけなく、Facebook、Skype、Slack上などのサービスとの連動も可能です。

―主要顧客はどのような業種になるのでしょうか?

 銀行、保険、旅行業界など、さまざまな業種の企業が、Inbentaのサービスを利用しています。主な顧客対象は、月次100万人以上のトラフィックをもつサイトを運営していて、50名以上のコールセンターを持っている企業であれば、このサービスを導入する効果が高いでしょう。仮に、ZendeskやSalesforceなどの他のカスタマーサポートサービスをすでに利用している企業でも問題ありません。それらのサービスを利用しながら、ユーザーからの質問などにはInbentaを通して対応すればよいのです。

―料金体系を教えてください。

 料金体系は、どれだけエンドユーザーがチャットボットを利用するかで決まります。AIやチャットボットとユーザーのやり取りが行われるセッション数に応じて料金を請求するモデルです。多くのユーザーが訪れるサイトを運営する顧客への請求額は必然的に大きくなっていくというわけです。

AIが人の代わりに作業をする時代がやってくる

―起業の経緯を教えてください。

 2005年の設立当初、この会社は、オンライン検索やカスタマーサポートサイトの改善を目的としたコンサルティング企業でした。現在の事業とは大きく異なり、テクノロジーよりも人間の力に依存する形で顧客の抱える問題を解決しようとしていたわけです。しかし、多くのプロジェクトをこなすにつれて、カスタマーサポートを改善することがどれだけ困難であるか、いかに新しい技術が必要であるかを痛感させられました。しかし、その経験があったからこそ、人力に依存するよりも、高度なテクノロジーを有効利用する、このモデルに移行することができたのだと思います。ピボットしてからは、もともと優秀な計算言語学者・エンジニアのチームを持っていたので、かなり速いスピード感で進んでこれました。

―将来的なビジョンを教えてください。

 いま私はとても有意義な時代を生きていると感じています。ビジネストレンドにも挙げられているAI技術の発展にとてもワクワクしますし、この先、この技術がどのように進化していくのかが非常に気になるところです。私は、この技術革新の中で、私たちの開発したAIが必ず社会に大きく役立てられると信じています。

―従来のコールセンターがなくなる可能性もありますよね?

 私は、近い将来、単純な作業を中心とする仕事は機械がこなすようになり、顧客のニーズを満たす知的作業が人間のこなすべき役割になってくると信じています。この先、わたしたちのチャットボットやAIは、より広い範囲へ拡散し、従来のコールセンターでは解決できないような問題をどんどん解決していくでしょう。毎日同じことの繰り返しのコールセンターと比較しても私たちのAIは日々学習してユーザーのニーズを満たす能力をあげていくわけですから、AIの優位性は明らかですよね。私は、Inbentaが従来のコールセンターを代替する可能性を強く感じています。

―最後に今後のグローバル展開についてお聞かせください。

 現在、私たちはアメリカ、ヨーロッパを中心にビジネスを展開しているのですが、今年1月31日より日本市場での積極的な販売を目的として、 NTT Communications社と販売代理店契約を締結し、正式にサービスの提供を開始しました。 これからは日本を始めとするアジア各国においてもビジネスを展開していきたいですね。

Jordi Torras
Inbenta Technologies
Founder & CEO
ハーバード・ビジネススクール出身。ヨーロッパの複数の企業で勤務。その後、インドにてITサービス企業のSBD Technologiesを設立、8年間CEOを務める。その後、2005年にInbenta社を設立。
企業情報
設立2005年
事業内容AIを利用したカスタマーサポート
資金調達額$16 million (2017年1月現在)
従業員数100人以上~
拠点San Mateo, CA, USA
URLhttps://www.inbenta.com
CrunchBasehttps://www.crunchbase.com/organization/inbenta-semantic-search#/entity
設立
2005年
事業内容
AIを利用したカスタマーサポート
資金調達額
$16 million (2017年1月現在)
従業員数
100人以上~
拠点
San Mateo, CA, USA
URL
https://www.inbenta.com
CrunchBase
https://www.crunchbase.com/organization/inbenta-semantic-search#/entity

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